Pushkinsky Fog Cinema
プーシキンスキー・シネマホールは様々な政治体制と歴史を経て運営されているモスクワの歴史的建造物の一つである。その建物は今も魅力的なフォルムを維持し現在も運営しているが建物は荒廃に落ちている。プーシキンスキー・シネマホール再設計ではその独特なフォルムを維持しつつ、ファサードを補強と共に新たな層の壁面を設置する提案。バーチャルと自然現象を融合させた霧の現象を表現したファサードである。
Fog Cinemaはシネマホール全体を霧のベールに包ませプーシキン広場に集う人々を魅了させる。ファサードは6角形多角面のパネルによってダブルスキン・システムで構成されており、複数のパネルは可動式になっている。ダブルスキン内に挟まれたスプレーノズルシステムは霧を発生させる。水源は敷地内外にある貯水タンクや屋上に積もる雨水や積雪から収集され、敷地地下に設置される回収タンクを介して供給される。高圧温水をスプレーノズルに発することでき人工的な霧を創り上げることができる。
外部ガラスパネルは可動式になっており雨水を収集することも可能であり、そしてスキン内に溜まった霧を外部に放出させることもでき、プーシキン広場をもまた神秘的な空間へ変貌させることができる。霧はシネマホールで上映されている映画や演劇のスケジュール報告として機能する提案があり、テクノロジーと建築の融合をデジタル的なプロジェクションマッピング等だけの表現に留めず、現代テクノロジーで誘発できる自然の現象を建築と合併させることで空間性を高める。